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誤射かもしれない
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「此の心地良さを手放すなど、もう、」


...復活/D18。


 夜中に目が覚めた。目が覚めたということは眠っていたという前提の上に成立する。
(うん、)
 愛しい小鳥がすうすうと腕の中で眠っている。“跳ね馬”と呼ばれるようになって以来、必然的に浅い眠りしか得られなくなっていたのだが、これは幸せだ。実に幸せだ。いつ何があるとも知れない夜なのに、いっそ背徳的なまでに深く心安い眠りに浸っている。
(幸せ)
 しかしこれは決して平穏に浸り過ぎたわけでも、ましてや油断などでもないのだ。この温もりと共にあるならば何が起こっても大丈夫だという信頼と確信。永遠に強くあれるような、守りたいもののあるという強さ。家族たちに向けるものとはまた違う強さ。愛しく尊い覚悟。
 知らず知らず目元を和ませて、ちいさなまるい頭に唇を落とした。ずっとこうしていられればいい。この狭い腕の中で永遠に囲われている小鳥ではないと知っているけれど、羽ばたくときまではずっと。そんな未来を夢見ながら、再び幸せな眠りに落ちた。


 夜中に目が覚めた。目が覚めたということは眠っていたという前提の上に成立する。
(ああ、)
 飼い慣らされたものだと思う。木の葉の落ちる音にも目を覚ましていた自分がこんなに安らかに眠っているなんて。まだその事実が忌々しい。しかし忌々しいと思いながらも、すんすん鼻を鳴らしながら収まりのいい場所を探して温もりを求める自分を認めてもいる。
(責任取ってよね)
 すっぽり落ち着く場所を腕の中に見つけてほうと息を吐く。眠ることは好きなのだ。こんなに心地よい眠りを一度でも味わってしまえば離れ難くもなる。
 一生僕のそばにいなよ、そうじゃないと咬み殺すからね。とろとろと幸せな眠りに沈む最中、同じく幸せそうに眠りこける馬鹿面に声なく告げた。



(沁々三十題/群青三メートル手前)
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2013年3月14日
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